生き生き健康 No.46 味覚の変化「味わって食べる」

生き生き健康


味覚の変化「味わって食べる」

 竹島佳代
 (財)体力つくり指導協会 管理栄養士
 季節や体調によっては大好きな食べ物でもおいしく感じられないときがあります。また、年齢によっても食べ物の好みは変化してきます。一概には言えませんが、年齢を重ねると濃い味を好む傾向があるとも言われています。しかし、この味覚の変化は単に好みが変わったということの他に、味の感じ方が変わってしまったという2種類があります。代表的なのは、タバコの影響で味覚がマヒするなどです。日々の食事の見直しからある程度よい状態を維持することもできます。感覚を研ぎ澄まし、素材そのものの味を敏感に感じられるようにしたいものですね。
●味の感じ方
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 味には塩味、酸味、甘味、苦味、うま味の5種類があり、多くの食物の味はこれらのいずれか、またはその組み合わせとして表すことができます。また、味の刺激が伝わるときには、におい、舌ざわり、温度なども関わっていて、全てあわせて「味」として感じます。舌の表面には味を感じる細胞(味蕾(ミライ)と言います)があります。口の中にもあります。味蕾の総数は若年者ほど多く、加齢に伴って半分から3分の1に減少するといわれています。このことが、濃い味を好む原因かもしれません。このような変化の原因は加齢に伴うものだけでなく、食事から摂取できる栄養素とも関わっています。それが亜鉛です。
●味覚異常と亜鉛
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 亜鉛は人体に欠かせない必須ミネラルのひとつで、細胞が新しく生まれ変わるときに必要です。味を感じる味蕾は生まれ変わりのペースがはやく、その分亜鉛を多く必要とします。そのため、体内の亜鉛が不足すると細胞の障害が起こり、味覚にも異常をきたすことが考えられます。
亜鉛が不足すると、味を感じにくくなるために料理の味付けが自然に濃くなり、濃い味を長い間食べ続けていると食塩の摂り過ぎからくる高血圧などの生活習慣病になる危険性もあります。
また、亜鉛不足は食事からの摂取量の不足だけでなく、薬の副作用でも起こる可能性があります。生活習慣病の治療薬の中にも亜鉛の吸収を阻害するものや、体内から排出してしまう働きがあるものもあり、長期間服用すれば亜鉛不足になりやすくなります。降圧剤や、骨粗鬆症の薬を服用している方は、特に意識して亜鉛をとるようにしていきましょう。
●亜鉛をとる!!
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 亜鉛不足は、食事面で改善されます。もちろん、サプリメントなどで摂取してもいいですがやはり、日々の食事の中で摂取するのが一番です。大体1日に15mgの亜鉛がとれれば十分です。亜鉛はいろいろな食べ物に含まれていますから、栄養のバランスに注意して一日三食を規則正しく食べていればそれほど心配はありません。けれども、一人暮らしで食品数が少なかったり、加工食品に頼りすぎている場合、また食事量そのものが少ない場合は注意が必要です。では、どんな食品に亜鉛が含まれているのでしょうか?亜鉛含有量の多い食品には、牡蠣、レバー(豚・鶏)、牛肉、うなぎ、卵黄、大豆、チーズ、抹茶、緑茶などがあります。どれも、比較的調理しやすい食べ物です。特に牡蠣には100gあたり13.2mgと多く含まれ、2粒食べれば1日分の亜鉛を摂取することができます。

 亜鉛は微量だけれども必要な栄養素。しっかりとって、加齢に負けずにいつまでも食べ物そのものの味を感じられるようにしていきたいものです。