生き生き健康 No.50 よく噛んでゆっくり食べましょう

生き生き健康


よく噛んでゆっくり食べましょう

 竹島佳代
 (財)体力つくり指導協会 管理栄養士
 新型インフルエンザの流行など、乾燥期に入る冬にかけてますます感染症の危険性が高まっていく季節となりましたが、気をつけていただきたいのは家の外だけではありません。家の中、食事のときにも少し気を配っていただくことも忘れないようにしていただきたいと思います。ウイルスや細菌は空気感染だけでなく、様々なところから体の中に侵入してきます。
●誤って飲み込むことからつながる病気
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のどの奥は肺につながる「気管」と、胃につながる「食道」に分かれています。食べ物がのどの奥に進むと脳から指令が出て食べ物は食道の方に入ります。しかし、老化など体の機能が低下してくるとこの指令がうまく伝わらなくなり、食べ物や唾液が気管に入ってしまうことがあります。そのときに、食べ物や唾液に含まれている細菌が気管から肺に入って、肺炎を引き起こすことが応々にしてあります。食べ物を誤って飲み込むことで怖いのは、のどに物が詰まって窒息することだけではないのです。
そうはいっても、日頃から飲み込むことに不安に感じて注意をしながら食事をしている方はいらっしゃらないでしょうし、楽しくもないと思います。そこで日常的に気をつけてもらいたいのは、「よく噛んでゆっくり食べること」の励行を心がけることが最も有効な方法であると考えます。

●よく噛む、味わう
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以前にも、よく噛んで食べる力を維持しましょうというお話をしました。そのときは飲み込むことにはふれなかったのですが、噛むことの第一の目的は食べ物を細かくし、飲み込みやすくすることです。さらに、ご飯のように噛めば噛むほど甘味を感じ、味わい深くなるものもありますよね。よく噛んで、よく味わってゆっくり時間をかけて食べるようにするとよいでしょう。そのほか、勢いよく食べるとむせそうなもの(きな粉などの粉もの類など)は、とろみのあるもの(きな粉であれば黒蜜など)と混ぜて食べるなど、工夫をしてみましょう。
●気をつけるのは高齢になったから?
よく噛むことは高齢の方だけではなく、どの年代の方にも共通して言えることです。あまり噛まずに急いで飲み込めば、飲み込む機能には何の障害がなくても詰まらせたり誤って気管に入ってしまうことはありえます。また、飲み込みやすくする以外にも、噛むことには食べ物の消化・吸収を助けて消化器官への負担を減らす、むし歯・歯周病を予防する、脳を刺激し活性化する、ストレス解消と肥満防止という効果も挙げられます。よく噛むことであごの周囲の筋肉が働いて全身(手や足先まで)の血流が良くなることもわかっています。どの効果も高齢の方に限って必要というわけではないのです。年末年始は何かとせわしなく、そして1年の中で最も楽しいときです。ご家族全員で会話を楽しみながらよく噛んで、ゆっくり味わって、食事の時間を十分に楽しむようにしてみてはいかがでしょうか?