生き生き健康 No.04 食べ物は元気の素

 

 

 

 

生き生き健康


食べ物は元気の素
高齢者の健康を語るときその人の暮らし振りを抜きにしては考えられません。その中で最もかかわりが深いのはやはり食生活でしょう。
 
1日30種類をとりましょう 
人間食べなければ生きていけません。食物が命を繋ぐものである事は間違いありません。最近の話題ですが、福祉施設で食べさせてもらわないと食べられない寝たきりの高齢者に好きな食事をゆっくり食べさせてやったらどんどん元気になって自分で食べると言い出し、やがて座って食べると言い出したという実験(注1)があります。それで今年から始まる介護の見直しで栄養をしっかり考えようと言う事になりました。
 さて、思い起こせば私たちの幼少時は戦争の前後で最も貧しかった時でした。一汁一飯の食事にありつけばよかった時代を生き抜いてきていますから、腹が満たされればいいという方もいるでしょう。
しかし、今日の栄養学が教えるところは様々な栄養素をバランスよくとる事が大切で厚生労働省の指導でも1日30種類とりましょうというのです。30種類とるとほぼ万遍なく栄養素が含まれる事になるだろうと言うわけです。

元気長寿の秘訣は野菜と酢の物

前回紹介した元気な超高齢者の食生活(注2)をみてみますと、同年代の人で元気な人たちは寝たきりの状態の人たちと比べて中高年期の頃の食事に大きな違いが見つかりました。

野菜、魚、卵、酢の物、海藻、大豆製品の6食品についてよく食べたと答えた率は元気高齢者ではどの項目も75%以上(野菜は90%以上)、それに対して寝たきりの人は一番多い大豆製品で57%、酢の物は15%と偏食が目立ちました。元気長寿の食事の秘訣は何でも良く食べる事と言えます。

特に、野菜と酢の物は特筆したいと思います。  高齢化が進んでくると、あっさりした食事を好む人が多くなるようです。高齢になって重要なのはたんぱく質です。血液中のたんぱく質が減ると病気に対する抵抗力が減退し、生命力が弱ってきます。昔から長寿県といわれてきた沖縄の人たちの長寿の秘訣は豚肉だと言う学者の報告(注3)があります。豚肉は脂が多いように思いますが、沖縄の人たちは脂を抜いて食べる、肉だけでなく頭から足の先まで、腸や内臓も、血液までも吸い物にして食べてしまうと言う習慣があるようです。

牛乳は手軽な長寿食の一つ

 次に、日本人に一番不足している栄養素と言うとカルシウムです。日本列島は火山列島で火山灰の上で取れた農作物は欧米のものに比べてカルシウムが少ないと言われます。それでもわが国は海に囲まれた海洋国です。小魚や海藻類にたくさんのカルシウムが含まれているのですから食べればいいのです。
ところが、若いときと違って骨ごとバリバリ魚を食べる事が出来なくなったり、海藻を食べても消化吸収が思うようにいきません。
その点高齢者には敬遠されがちだった牛乳をおすすめしたい。消化吸収もいいし、量が十分に取りやすいからです。近年問題になっている骨粗しょう症の予防のためばかりでなく高血圧、糖尿病、動脈硬化など老年病の殆どはカルシウム不足に関係すると言う報告があります。
70歳の人で牛乳を毎日飲むグループと時々飲むか飲まないグループとに分けて10年間観察したら生存率は牛乳を飲むグループが明らかに高かったと報告(注4)した人がいます。牛乳も長寿食の一つと言っていいでしょう。 最後にもう一つ、食物は生き物です。生命のあるものです。食物の中の元気を戴くのです。「腐っても鯛」と言う言葉がありますがそれはうそです。新鮮な、できれば旬の物を、元気な食べ物を食べて元気になりましょう。そして、食事は楽しく、おいしく食べる事が大切、体だけでなく心の栄養になるようにしたいものです。

注)参考にした文献
1 日本健康・栄養システム学会:   「施設及び居宅高齢者に対する栄養・食事サービスのマネジメントに関する研究会-    要介護者における低栄養状態を改善するために-」報告書:平成17年3月 2 小山和作:元気長寿の秘訣:主婦の友社:平成2年12月 3 松崎俊久:長寿世界一は沖縄 その秘密は豚肉食だった:祥伝社:平成4年6月 4 日本老年医学会編:老年医学テキスト:メディカルビュー社  :平成9年6月