生き生き健康 No.01 入浴ーその功罪

生き生き健康


入浴ーその功罪
日本人は風呂好きの国民といわれ、外国の人のようにシャワーでいいというわけにはいきません。やはり肩までつかり、しばし陶然とすれば一日の疲れも取れ爽やかな幸福感に浸れるというもの。幸いに日本は火山列島です。いたる所に温泉が沸き温泉旅情も楽しめます。高齢者はもとより、若い女性にも人気が有るようです。
 
清潔、疲労回復が入浴の効用 
温泉の薬効の話はおいといて、一般にお風呂の功罪について考えてみます。入浴の効用の第一はなんと言っても清潔。私たちの皮膚は絶えず新陳代謝を繰り返し、汗や脂を分泌しています。それに汚れが付着します。風呂に入って皮膚を清潔にすると、その発汗や体温調節の作用、皮膚呼吸などがスムースになり、爽快感を覚えます。体の中でも汚れやすいところはいつも清潔にして欲しいのですが、ただ、高齢者の肌は乾燥しやすいのであまり石鹸つけてゴシゴシしないがいい。かゆみの原因になります。
第二は疲労回復。風呂に入る目的は一日の疲れを取り、さっぱりした気分になりたいということ。ところが、疲労には肉体的疲労と精神的疲労があり、それによって風呂の入り方が違ってきます。肉体的疲労の回復のためには高温(43度~45度)の風呂が良い。熱い温度は血行を良くし、体内に溜まった疲労物質を排泄するので疲労回復になります。
しかし、温度が高く、しかも長湯をするとエネルギーの消費が増し、風呂に入ってかえって湯疲れを起こします。45度なら5分が限度でしょう。逆に精神の疲労にはぬるめの風呂にゆっくりと入る事です。高齢者の場合、日常の暮らしでそれほど肉体的疲労が多いとは思えません。「疲れた」という実感は肉体的なものより、精神的なものが多いのではないでしようか。ぬるめの湯に長めに入ると鎮静作用があり、寝る前に入ると睡眠を助けます。ぬるめといっても温度感覚には個人差がありますが、一般的には日本人は熱い湯が好きですから40度前後がいいでしよう。
 

高血圧の人はぬるめのお風呂に

ここで高齢者に最も多い病気が高血圧ですから、入浴と血圧について考えてみます。風呂に入ると毛細血管が拡張するので血圧は下がるはずです。しかし、熱い湯では交感神経が興奮するので、入ったときに一時的に血圧は上昇します。血流量が増し、呼吸数は多くなり、酸素需要が高まり、心拍数が増えます。
ぬるめの湯でも同じ状態にはなりますが、緩やかで影響が少ないし、鎮静作用もありますから血圧は次第に下がることになります。血圧に心配のある人や心臓に自信の無い人はぬるめの風呂がおすすめです。
 

腹式呼吸で入浴自体が運動に

 

次に呼吸の方も見てみましょう。湯船に身を沈めるとき私たちは息を凝らして入ります。肩までつかって思わず大きく息を吐く、水中では水圧の影響で腹部が圧迫され腹式呼吸をすることになります。日頃あまり深呼吸をしない高齢者にはいいことです。この水圧も1センチ沈むごとに胸部で約500グラムの圧力を受けると言われます。心臓や肺の悪い人では呼吸困難や胸部の圧迫感を感じることも有るかもしれません。日頃運動不足の人にとっては入浴はそれだけでも運動になります。

水の中では浮力が働きますから体が軽くなり運動しやすいので、体の不自由な人のリハビリを風呂の中で行うわけです。温泉などの大きい風呂では大いに手足を伸ばして運動したいものです。急性の炎症でなかったら肩こり、腰痛などにも効果的ですし、何といっても好きな仲間と出かけてゆっくり温泉につかればストレス解消この上なしです。
ただ、水をかけるようですが高齢者の入浴事故が増えています。交通事故よりも多いのです。心臓や呼吸機能が弱っている人それに深酒の後は用心してください。冬には浴室や更衣室を暖めること、入浴の前後に十分の水分を取ることが大事です。しかし、入浴は上手に利用すれば高齢者の健康に大変有効です。どうぞお風呂を楽しんでください。