生き生き健康 No.11 高齢者によくあること ―不眠―

生き生き健康


高齢者によくあること ―不眠―
「寝つきが悪い」「すぐ目が覚める」「寝足りない」といった訴えをよく聞きます。今回は不眠について述べてみましょう。
高齢者は寝つくまで約40分かかる
 人は一生の3分の1を寝て暮らす、といいます。忙しい人にとっては睡眠時間をさいて仕事をするという人もいます。ナポレオンは1日3時間しか寝なかった、とか。しかし、それでは健康に良いはずはありません。人は物を食べてなくても簡単には死なないが全く寝ないのでは生きていけない、といいます。それで、寝てないという人でもほんのわずかでも瞬間的に寝ているものです。

 さて、睡眠の状態は脳波で調べると一目瞭然と判ります。その結果、高齢者の睡眠を若い人と比較してみると、まず、ベッドに入ってから眠りにつくまでの時間は、若い人(20歳台)では平均で12分くらいなのに、高齢者(平均80歳台)では約40分はかかるという。寝付くのに約4倍長い時間がかかることになります。

次に、夜中に目の覚める回数をみると、自分では気付かなくても脳波でキャッチした回数では、若い人で5~6回なのに高齢者は20回と、これも約4倍多い事になります。

深い眠りが得られない高齢者

 

 次に大切なのが、睡眠の深さです。睡眠は浅い眠りから深い眠りへと進むだけでなく、少し深くなったと思ったら、また浅くなる。というふうにいきつもどりつしながら次第に深くなっていくものです。睡眠の深さを脳波の上で四段階に分けて表しますが、一番浅い眠りが若い人では一晩の睡眠の中で5%強なのに、高齢では15%以上と約3倍、逆に、最も深い眠りの4段階目の眠りは高齢者には殆どないといわれ、1つ前の3段階目と加えてやっと、2~3%に過ぎません。若い人では20%近くみられ、8~10倍の違いです。

 このことから、年をとると若い人に比べて寝つきが悪く、途中で目が覚めるのも多いし、眠っているときも眠りが浅い。寝たりないと感じ、不眠を訴えるのも当然でしょう。やはり老化現象と考えざるを得ません。

しかし、それは逆にいうと高齢者の睡眠時間は若い人よりも短くて良い。ということにもなるかもしれません。

ただ、高齢者の不眠が色々な病気が原因になっていることもあります。例えば、高血圧、動脈硬化、あるいは腰や膝の痛み、神経痛、関節痛などがあると睡眠を妨げます。高齢者に多いのは高血圧ですが、その治療のために服用している薬の利尿作用のために尿が増え、夜中に尿意をもよおすこととなり、不眠の原因になることもあります。

不眠対策10か条

 

 では、不眠対策について考えてみましょう。

其の一 先ず、不眠の原因になるような病気がないかを検査し、治療すべきものは治療しましょう。(例えば高血圧など)

其の二 利尿作用のあるような薬や神経を興奮させる薬剤や嗜好品(お茶、コーヒー等)は、寝る前には用いないようにしましょう。

其の三 夜間頻尿が不眠の原因にもなりますが、不眠のため目覚め、トイレにいきたくなることもあります。一晩で何回トイレにいくかを、その人の老化度として表そうとする人もいますが、中には前立腺の病気(肥大、腫瘍など)や膀胱の病気が原因かもしれません。検査を受けておく必要があります。

其の四 昼間に少し運動を。軽い肉体的疲労は睡眠につながります。高齢者の場合歩くのが一番です。少し早足で20分か30分を毎日励行しましょう。

其の五 夕食は軽く。若い人はお腹が空いて眠れないという人もいるようですが、高齢者は、あまり食べ過ぎると不眠になります。特に、こってりしたカロリーの高い物は、消化が悪く胃にもたれて睡眠をさまたげます。

其の六 夜の就床を少し遅く。年をとると朝が早いという。早く寝るからです。少し遅めに寝るようにしてみてください。

其の七 入浴も睡眠の助けとなります。少しぬる目のお湯にゆっくりと。お湯の温度が高すぎるとかえって神経が興奮するものです。病人などで風呂に入れない人は足先だけでもつけてあげるとよく眠れます。

其の八 部屋の環境も大いに関係あります。高温多湿の我が国の夏は寝苦しいもの、室温は20度から25度位、湿度は50~70%が適当。音は少ないほどいいのでしょうが、全く無音状態ではかえって不安、緊張で眠りにくいものです。また、明るい光がさしこむことで目覚めやすく、朝ゆっくり眠りたければ自然光を遮っておくとよい。

其の九 少量の寝酒は入眠の助けとなりますが、量が過ぎると口が渇いたり、尿意が多くなり睡眠をさまたげるし、連日飲んでいると、飲まねば眠れなくなったりします。寝酒の量は日本酒で一合以内。寝付きにくい夜だけにして下さい。

其の十 それでもうまくいかない時、眠れなくて苦しい時は、専門医に相談し、適当な薬を処方してもらわざるを得ないでしょう。