生き生き健康 No.10 高齢者によくあること ―おなら―

生き生き健康


高齢者によくあること ―おなら―
今回から、少し趣向をかえて、高齢者によくあることを拾って述べてみたいと思います。
アメリカ航空宇宙局が科学的な調査を実施
最初に、次のような質問が寄せられました。紹介しましょう。「孫が遊びに来て笑うのです。おじいちゃんはよくおならを出すね、と言われてみればそうかなと思います。私のおならは音が大きい割には匂いがあまりしません。しかし、日によっては違うようです。食べ物が関係するのでしょうか」(74歳男性)。

 そこで、今回は「おなら」について検証してみたいと思います。

国語辞典を見ると「おなら」の項には「屁(へ)」と書いてあります。どうも「屁」の方が正式名らしく、それを「鳴らす」ところから「おなら」となったともいわれています。

「おなら」について科学的な調査をしたのは、実はアメリカ航空宇宙局(NASA)なのです。完全に密閉された宇宙船の中で、宇宙飛行士が「おなら」を出したらどうなるのかと心配されたからです。「おなら」にはあの不快な臭気もありますが、可燃性のガスも混じっていることはわかっていましたから、溜まってくるとガス爆発しないだろうか、あるいはガス中毒の心配は無いだろうかと真剣に考えたのです。

400種類以上の成分がある「おなら」

 

 そこで、NASAの研究では、「おなら」には400種類以上の成分が有ることがわかりました。そして非常に個人差が大きいこともわかりました。一般的に「おなら」のガスの成分は、窒素が一番多くて23~80%(空気中の組成も窒素は79%)、続いて、水素、炭酸ガス、メタン、酸素等です。これらは無臭ですが、微量(1%以下)のアンモニア、硫化水素、インドール、スカトール、アミン、揮発性脂肪酸等の悪臭のあるガスが含まれています。

 健康な人の「おなら」の量は100~3000ミリリットルと個人差が大きく、いも類や豆類を多く取ると2~10倍に増えることも実験して確かめています。芋や豆の中には人間の胃や小腸では消化されない食物繊維が腸内の細菌によって分解され、醗酵されて「おなら」になると考えられます。

しかし、芋や豆類を食べて出る「おなら」の音は大きいが、それほど臭くないはずです。それにくらべて、肉類を多く食べる人の「おなら」は臭いのが普通。動物も「おなら」をしますが、草食動物の「おなら」の音は大きいが臭くなく、肉食動物の「おなら」は臭いと言われます。肉や脂肪類を多く取る人の腸内には腐敗菌が多く、臭いガスが産生されます。

ところで、年を取ってくると、一般的に胃腸、肝臓その他の内臓機能は衰えますから、食物の消化力も減退し、腸の動きも不活発になって、便秘しがちです。ガスも発生しやすい状態になります。腸内細菌を研究している人の話では、若い人に比べ高齢者の腸内には善玉菌が少ないとも言われます。腸内に善玉菌が減少し、悪玉菌が増加するのが人の老化を作るのだと言う学者もいます。従って、いつも便通をよくし、腸内の清掃をしておくことが大事です。そのためには高齢者の食事が若い人と違ってもいいし、食物(植物)繊維の多いもの。あるいは乳酸醗酵飲料なども大いにおすすめしたい。

おなかと食生活がはかれる「おなら」の利点

 

 元々、若い人とくらべていも類や豆類などの日本の伝統型食事を好まれ、そういう食物が多い高齢者のみなさんに、「おなら」が多いのは当然です。その際、音は大きくても臭くはないはずですし、心配する必要はありません。年をとると「出物、腫れ物、所かまわず」といって世の中に遠慮しなくなる、「おなら」の出方に勢いがあるのでしょう。

 うら若いお嫁さんがみんなの前で必死に我慢して、踵を肛門にあてがって身もだえしているうちに、遂にかわいい音が飛び出してしまう。なんとも可憐で絵になります。

おなかの手術をした後の「おなら」は、腸が動き出したことを示すうれしい知らせ、待望の「おなら」です。

そう考えてみると、普通はあまり歓迎されない「おなら」も、さまざまな姿をもっていて、「おなら」にも一つの文化があると思うのです。そうであればこそ、周囲に不快さを与えないようにしたいものです。そして、「おなら」は体の健康、特におなかの状態と食生活を知る上で大事な判断基準です。気をつけてみて下さい。