生き生き健康 No.08 働くことは健康長寿の素

生き生き健康


働くことは健康長寿の素
シルバー人材センターの皆さんに「働くことの効用」を語ることは釈迦に説法と言うことでしょうが、高齢者の健康を考えるのに「働く」ことを抜きにしては考えられません。それで敢えて今回は項目を立ててお話をすることにしました。
体力・能力ある高齢者は働きたいもの
 

一般的には、高齢者は職場で定年を迎え、仕事からはなれて悠々と暮らしている人が多いと思われています。しかし、体力も能力もある高齢者にとっては何もしないで毎日を過ごすことは苦痛以外の何物でもないと言う人もいるようです。

 元来、わが国の高齢者は働き者です。「働くことは美徳である」という二宮尊徳を崇拝する教育を受けた人たちであり、戦後の荒廃を見事に復興させ、今日の日本を築き上げた礎は今の高齢者の労働意欲にあったといっていいのです。本来ならば「これからはどうぞゆっくりお過ごしください」と言いたいところですがそうもいかないようです。

旅行や趣味を生かして暮らすのもいい、町内会、老人会などでボランティア活動をするのもいいのですが、何か働きたいと言う高齢者のために全国的に大きな組織に発展しているのがわがシルバー人材センターなのです。

昭和50年に始まったシルバー人材センター事業

 

 これまでのようながんじがらめの雇用関係でなく、働きたいときに、やりたい仕事をする、そして、健康と生きがいに結び付け、かつ社会に参加している喜びを持つ、このような高齢者の一つの生き方に応えようと、昭和50年東京都に高齢者事業団としてスタートして以来燎原の火の如く全国に拡大していきました。今や厚生労働省の後押しと明確な法制化の下、全国に会員1624団体、77万8千人(平成17年9月速報値)をかかえる大組織になりました。

 さて、その会員の皆さんの「入会の理由」について尋ねると、55%の人が「体や健康によいと思ったから」と答えています。これは、他のどの理由よりもぬきんでて多い数値です。そこで、次に、そういう理由で入会した会員がその後会員であることを続けている理由は何かと尋ねますと、入会のときと殆ど同じで、「健康のため」が群を抜いて第一位です。このように高齢者は如何に働くことに「健康」を結び付けているかが良くわかります。しかも、実際に働いてみてその事を実感しての答えですからなおさらの事です。

以前、全シ協の会議のときに私が質問しました。「入会して健康になったと言うことを実証する何か数字はありませんか」と、そうしたら、あるシルバーの理事長さんが「うちの地区で調べたら町の医療費が減りました」というのです。健康になれば医療費が少なくて済むと言うわけです。

厚生労働省が5年に1度行う都道府県別の生命表(平均寿命)を見ると男性の一位は長野県、しかも長野県が素晴らしいのは一人当たりの老人医療費が日本一低いのです。それは元気な高齢者が多いと言うことを意味します。そして、高齢者の就労率が日本一高い県なのです。元気だから働けるのか、働くから元気なのか、いずれにせよ、働くことは健康の素です。かつて熊本県の国保の加入者で高齢者の医療費を調べたことがありますが、同様に働く高齢者は医療費が安いという結果でした。

今、国は社会保障費の出費が高く、特に高齢者の医療費を抑制しようと必死です。高齢者の働く環境を作ることが老人医療費の抑制になると思うのですが、更に付け加えると、一人でコツコツと何かの仕事に打ち込むことも悪くは無いのですが、多くの人の中で、いわば社会に参加することが更に効果的であるというデータがあります。「皆で働く」と言うことの意義も実は重要なことなのです。