生き生き健康 No.25 お腹を引き締め、歩行能力をアップ 

生き生き健康


お腹を引き締め、歩行能力をアップ
北原 道宏
財団法人体力つくり指導協会 主任研究員
1.腰骨や骨盤と太ももをつなぐ筋肉(腸腰筋)の話
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腸腰筋は脊柱や骨盤と太ももの付け根をつなぐ筋肉で、身体の表面からは確認のできないインナーマッスルです。
腸腰筋は、歩行や階段を上る時に大腿を上げるために使う屈筋であり、反対の作用をもつ大腿伸筋であるお尻(大殿筋)と共同して、姿勢を安定させ、また、少しの動きで大きな力を発揮し、最も効率よく体を動かすことができる抗重力筋です。
2.あなたの腸腰筋の衰えをチェック
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  この腸腰筋は腸骨筋、大腰筋、小腰筋の3つの筋肉の総称です。腸骨筋は骨盤の上部(腸骨窩)から始まって太もものつけ根あたり(大腿骨の小転子)に付着していて、大腿骨を引き上げるときに働きます。大腰筋は第12胸椎と第1~4腰椎椎体から始まり、途中で腸骨筋といっしょになって太ももの付け根(大腿骨の小転子)に付着しています。小腰筋は大腰筋と同じ走行をする細い筋肉です。
腸骨筋は大腿骨を引き上げるという単純な働きする単関節筋であるのに対し、大腰筋は背骨の自然なS字の湾曲を保ったり、骨盤を正しい位置で保持したり、太ももを引き上げる動作を助ける複関節筋です。
①ふだんイスに座るときに浅く腰をかけている。
②お尻のボリュームがなく、お尻がペタンとしている。
③人よりも歩く速さが遅い。
④つまずくことが多い。
⑤肩こりがひどい。
⑥ねこ背気味だ。
⑦夏でも冬でも冷え性に悩まされている。
上記の7つの項目の内、半分以上に心当たりがあると衰えている可能性があります。
3. 腸腰筋が鍛えられると
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①腸腰筋は身体の深部にある筋肉で、背中、腰、お尻にかけての身体のラインを形成し、運動能力を高めます。
②トップレベルのスポーツアスリートはみな腸腰筋が発達していますが、特に黒人の陸上競技選手の大腰筋(腸腰筋の1つ)は白人の約3倍もの太さになるというデーターがあり、その体形は背筋がピンと張り、腰からお尻にかけて引き締まって高い位置にあります。
③一般の人も、選手までいかなくても、お腹まわりの脂肪やたるみを正しい位置で支え、お尻を持ち上げ、歩幅を拡げ、肩こりや腰痛などの不定愁訴の解消に役立つという効果が期待できます。
4.腸腰筋のトレーニング
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①腸腰筋は仰向けになって脚を上げると力強く働きます。
②仰向けで両脚を上げたり、立ち姿勢で壁やイスや平行棒などにつかまって太ももを上げる運動などが効果的です。最初は膝を曲げておこない、徐々に膝を伸ばしておこなうとより負荷がかかって効果が期待できます。
③腸腰筋はウォーキングだけでは鍛えることはできません。
④仰向けで腰部を前方に引き出し、腰から下を浮かせた方法で脚を上下動させると腰に負担がかかり腰痛が出やすくなるので、この方法での腹筋を伴う運動は避けるほうが良いでしょう。
⑤ストレッチは、膝が身体の前面よりも後方になるように股関節を伸ばすようにおこないます。
さあ、みなさん、腸腰筋の運動でお腹まわりを引き締め、歩行能力をアップさせましょう!
5.家庭でできる簡単な「腸腰筋の運動」
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[実技方法]: 仰向けになり、両脚を上げる
① 仰向けの状態になり、手は身体の両横に置きます。
*背骨が伸びた状態にします。
② 両膝を軽く立てます(元の位置)。
③ 「イチ」で息を徐々に吐きながら、太ももを引き上げて両膝を胸に近づけます。
④ 「ニ」で両膝を伸ばし、両脚を天井に上げます。
*余裕のある場合は、足の裏を天井に向けます。
⑤ 「サン」で両膝を曲げ、③の状態(胸の位置)に戻します。
⑥ 「シ」で両足を「元の位置」に着地させます。
⑦ 「イチ」「ニ」「サン」「シ」を1回として、繰り返し10回おこないます。
⑧ 10回をセットにして、1セットから3セットおこなってみましょう。
(ワンポイントアドバイス)
*ゆっくり動作するほど効果も高まります。
*「イチからシまで」終えた後、大きめの呼吸を2呼吸ほど入れて(身体をリラックスさせて)次の動作を行うと運動の持続性が高まります。