生き生き健康 No.24  いつまでも背筋まっすぐ姿勢よく

生き生き健康


いつまでも背筋まっすぐ姿勢よく
北原 道宏
財団法人体力つくり指導協会 主任研究員
1.太ももの後ろの筋肉(ハムストリングス)の話
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太ももの後ろの筋肉をハムストリングと言います。走ったり、ジャンプしたり、スキップしたりするときに必ず使う、いわゆる日常生活で身体を支える「抗重力筋」の一つです。
股関節を曲げたり上体を前に傾けると、上体が倒れないようにハムストリングスが重力に対抗して支持筋として働いてくれます。
ハムストリングスは、大腿部の後面の外側にあり二つの頭を持っている大腿二頭筋と、大腿部後面の内側にあり名前の通り筋肉の半分が腱の部分になっている半腱様筋と、大腿部後面の内側にあり筋肉の上方付着部が平らな膜状をしている半膜様筋の3つの筋肉からできています。
2.ハムストリングスの役割
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   ハムストリングスは、運動選手が練習で使いすぎてよく肉離れを起こす部位ですが、実は一般の人の姿勢にも深く関係しています。ハムストリングスの役割は膝を曲げるときに使うことで知られていますが、もうひとつ重要な働きがあります。それは股関節を伸ばす働き(伸展)です。お尻の筋肉と一緒に働いて太ももを後ろに強く引く力があるのです。
①上半身の姿勢をよくするハムストリングス
股関節を伸展させ、太ももを後ろに強く引く力を出すというハムストリングスの働きを意識することによって姿勢を良くすることができます。この筋肉がしっかり働くと骨盤が前に傾くのを防ぎ、骨盤が立つため、それに伴って上半身もまっすぐ上に伸びて綺麗な姿勢が保たれます。
②ギックリ腰との関係
上体を前かがみ(体幹45度前屈位)から直立姿勢に戻すときには、まず大殿筋とハムストリングスが収縮して骨盤が後方に回転し、その後、脊柱伸展筋(脊柱起立筋・多裂筋・腰方形筋)の収縮に変わります。その変わり始める時が受傷しやすい危険な時です。 ギックリ腰は、椅子に腰掛けていて立ち上がる時(軽度前かがみから腰を立位に移行する瞬間)に痛みを訴え、完全に腰を伸ばしきることが出来なくて、中腰になってしまう状態です。
・朝、靴下をはく時や顔を洗う時。
・腰掛けていて立ち上がる時。
・中腰で作業をして腰を伸ばした時。
・床にあるものを持ち上げる時。
など、上体を前かがみから直立姿勢に戻すときに多く発生することがあります。
3. ハムストリングスのトレーニング
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  上体の姿勢を良くし、ギックリ腰を予防することは、加齢に関係なく健康な生活を送るために重要であり、ハムストリングスのトレーニングはその有効な手段に成ります。特に股関節の伸展を意識したトレーニング方法は、マシンでレッグカールを行うような膝を曲げる動作よりも、片足で立ったまま脚を後上方に上げるなどの方が家庭で手軽に鍛えられるので便利です。「腰が曲がった!腰が痛い!」といった状況を先送りしていくために太ももの後ろの運動を継続的に行うことをお勧めします。
4.家庭でできる簡単な「太ももの後ろの運動」
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[実技方法]: 壁に添って立ち、片膝を曲げる
①壁に対して平行に立ちます。
②片手を壁に添えます。
③「イチ・ニ」で壁から遠い側の片脚を、膝を軽く曲げて前に出します。
④「サン・シ」で上げている片脚を、膝を曲げたまま後ろに引きます。
⑤「ゴ・ロク」で後ろに引いた状態を2秒ほど保ちます。
⑥「シチ・ハチ」で片脚を元の位置に着地させて立ちます。
⑦「イチ・ニ」「サン・シ」「ゴ・ロク」「シチ・ハチ」を1回として、繰り返し10回行います。
⑧反対側の脚も同様に行います。
⑨10回をセットにして、1セットから3セット行ってみましょう。
ももの裏に充実感のある張りを感じるように行います。
(ワンポイント)
*足が地面に着かないで膝を曲げている状態で、ハムストリングスはお尻(大殿筋)の補助を受けずに働きます。
*股関節が伸びて(伸展位)、膝関節が曲がっている(屈曲位)ときには、ハムストリングスの補助を受けずに大殿筋が働きます。
(応用練習)
*大腿二頭筋は、膝関節の屈曲を外向き(外旋位)で行うとより効果的に働きます。 *半腱様筋と半膜様筋は、膝関節の屈曲を内向き(内旋位)で行うとより効果的に働きます。