生き生き健康 No.19 これからこそ輝いて(3)

生き生き健康


これからこそ輝いて(3)
積極的な生き甲斐作りで素敵な高齢期にしよう
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  今回は、高齢者の生き甲斐作りについて考えてみましょう。 生き甲斐は何処から生まれるのかと考えをめぐらしてみると、どうも他から与えられるものでなく、自ら生み出すものだということに行き着きます。それも何か条件がありそうです。

そこで、私は4つの視点から高齢者の生き甲斐作りについて述べてみたいと考えます。

先ず第一に、生き甲斐を持って生きている人は体全体に輝きがあり、健康を保ち,何かエネルギーがあるようで、心身の健康こそが生き甲斐の第一条件かと思います。精神の働きも含めて全身のもろもろの機能が失われてくれば生き甲斐も失われやすくなります。
近年、高齢者の自殺が多く交通事故よりも遥かに多いことがわかっています。実は、その自殺の原因を見ると、最も多いのが病気を苦にしてという理由で約7割、若い人の自殺と大きな違いがあります。病気が生きる望みを断つといえます。高齢者の病気は回復の可能性が薄く、これから先の希望が持てないという思いは理解できます。ただ、高齢者の場合、家族や周囲の人たちに迷惑をかけるのは申し訳ないという「気がね」も多分に有ると推察します。
自殺という極端な話を述べましたが、かねて健康に注意し、食生活、運動、休養や睡眠、規則的な毎日の生活を実行する事は身体の健康作りであると共に、高齢者の生き甲斐作りの根本なのです。
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  第二に、世代間の共生を挙げたいと思います。高齢者は若者の支えによって生きる力が沸いてきます。物理的,経済的支えと言うより,心の支えが大きいと言えます。自殺も家族への気がねが大きいのではないかと申しましたが、本人が負担に感じないようなさりげない、それでいて暖かい支えが必要でしょうし、高齢者の方も仮に体は動けなくとも例えば留守番はできるし、介護をする人の負担を少しでも軽くする努力も、家族の中での役割かと思います。高齢者の知恵を若い人に伝える事もその一つで、必要とされる人間になる事が共生の大事な条件です。
 また、人には本能や感情があります。本能の中でも最も強いのが食欲と性欲で、年とともに無くなる訳ではありません。「年甲斐も無く」と一笑に付されたり、自然の心の動きが抑えられると、見事に高齢者は生き甲斐を無くします。世代間で暖かく支えあっていく事が必要です。
第三は、環境条件を整える事です。人は誰でも環境になじみ、人と和み合える条件があれば生き甲斐を感じます。高齢になると環境への適応が困難になります。特に、今日では自然環境、社会環境、家庭環境などがめまぐるしく変化し、高齢者にとって困惑する事が多いと言えます。折角、老親のために家を建てて住まわせても不満足であったり、田舎の一人暮らしは寂しかろうと都会に呼び寄せたばっかりに病気になってしまうというケースはよく聞きます。車は間断なく走り、携帯電話はうるさく鳴り、喧騒と混乱の中で不適応を起こすのは高齢者ばかりではないかもしれません。
 しかし、高齢者も受身ばかりであってはいけません。むしろ、適応しようと努力し、自分もそれによって変革し、環境に順応しようとする姿の中に生き甲斐も生まれてくると思います。例えば、90歳でもパソコンを扱い、インターネットを駆使し、カラオケを唄い、携帯電話で孫と話をする素敵なお年寄り。大きな生き甲斐が生まれてくると思います。
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  第四に、そういった前向きの行動、別の言い方をすれば自己実現をしようとするスピリットが大切であると言いたいのです。私はこのスピリットを「気」と訳したい。何か新しいものに対しても挑戦しようとする気力、これこそ生き甲斐作りの根源的なものに他なりません。前にも書きましたが、高齢者が働くことは金銭的な収入を得ることよりも、健康と生き甲斐を得ることに連なると言うことです。全国に拡大するシルバー人材センターの活動が活発なところほど病人も少ないし,老人医療費も安いのです。聖路加国際病院の理事長日野原重明先生は今年96歳になられますが、新老人の会運動に情熱を燃やしておられます。
  高齢者の生き甲斐は高齢者自身の主体的生き方によると同時に、周囲の人々との関わり方が大変重要です。高齢期は肉体的には間違いなく衰退期です。しかし、身体能力や適応力は衰退しても、積極的に生き甲斐を高める事は可能です。また、そういうことのできる社会を如何に築いていくかが、私たちの課題だと思います。