生き生き健康 No.15 高齢者によくあること -脱 水 -

 

生き生き健康


高齢者によくあること -脱 水 -
     こんな質問がありました。 「年をとると水分が欠乏すると聞きました。しかし私は、それほど喉の渇きを覚えませんし、尿の量も変わらないように思います。夕方からお茶を飲むと、夜中にトイレに行きたくなるので、夕食の後は水分をとらないようにしていますが、それでいいのでしょうか?それとも水分欠乏になるものでしょうか。血圧も、腎臓も悪いといわれたことはありません。」(75歳 男性)

もともと、私たちの体の半分以上が水分です。この水が体のいろいろな機能を円滑に動かしています。他の動物も、植物も同じです。地球は水の惑星といいます。もし水がなければ、生物は地球上に生をもつことは出来ません。生物の生きる条件は正にこの“水”と言うことができます。

水分は年齢によって異なっている
さて、その水分は年齢によって異なっていて、一般成人ではほぼ体重の60%、子供だったら70%です。

ところが高齢者では50%~55%と体内の水分量は減少しています。言葉の通りに若い体は水々しいというわけです。

体内の水分は、私たちの体を構成する細胞の中にある水分と、細胞の外にある水分とに分かれています。細胞外の水分も、細胞と細胞の間の組織を流れているものと、血液のようにいつも血管内を全身くまなく流れている水分とがあります。これらの水分は互いに行き来して、補い合うようになっています。

ところが、高齢者になると細胞の中の水分が少なくなってきます。それは、細胞が外から水分を取り込む力が弱まってくるからで、その為、細胞内は常時水分不足の危険にさらされているといってもいいでしょう。

もし、細胞外の水分が減少した場合、普通なら細胞内から補給しようとするのですが、それでなくても細胞内の水不足があるのですから無理。そこで水分摂取が少ないと、血液は濃縮し粘りがでて血液が固まりやすく、血栓を作るようになります。

水分が細胞や血管を出入するには、カリウムとナトリウムが大きく関わります。しかも、その両者がバランスよく含まれていて始めてスムーズに行くのです。水の出し入れの時、さまざまな栄養分や細胞に必要なエネルギーが運び込まれ、逆に要らなくなった老廃物が排泄されることになり、体の働きが順調にいくわけです。従って、カリウムやナトリウムなどのミネラルもバランスよく補うことも大切です。
水分は1日どれくらい摂取したらいいのか
  さて、水分は1日どれくらい摂取したらいいかというと、少なくとも体から出ていく分は取り入れなければいけないわけです。 普通の人が、普通の温和な気象条件のもと、静かに過ごしたとして、出ていく水の量は、尿で1,500cc、呼吸をする息から300cc、皮膚から知らずに蒸発しているものが600cc、糞便から100ccといわれ、合計して約2,500cc出て行きます。それに対して、食物の中に含まれる水分が約1,000ccとして、1,500ccは水を飲まなければいけないことになります。
 まして、病気で熱が出たり、運動して汗をかいたりすると更に1リットルほどの水が出て行くのでその分摂取せねばなりません。病院でよく点滴をするのは、栄養分を注射するというより水分を補給するのが目的です。

水分が失われた状態を「脱水状態」と言いますが、体内の水分が2%程度減っただけでも口が渇き、尿が減るなどの症状がでます。5%から10%も減ると皮膚がカサカサになり体温調整がうまくいかないため体温が上昇します。舌が水分を失いカラカラに乾燥します。血液も濃くなってくるなど、脳に十分血液が行かなくなり、頭痛やめまい、吐き気が起こり体がだるくなります。もっと脱水が進み、15%以上も失われると生命が危険です。

高齢者は何故水分不足が起こるのか

さて、高齢者では何故、水分不足が起こるのでしょうか?

先ず、のどの渇きを感じる口渇中枢の機能が低下し、のどの渇きを感じにくくなります。そのため、水分の摂取が少ない。その一方で、腎臓の尿を濃縮する力が低下するため尿量が増加するのです。

普通は水分摂取が足りないとわかると腎臓は尿の作り方を減らすのですが、年をとるとその調節がきかなくなり、夜中など水分をとっていないのに尿はどんどん作られるのです。夜トイレに行くのはそのためです。

トイレに行くのを減らそうと思い意図的に水分摂取を減らすのも脱水の原因になります。更に、高血圧などの薬には利尿作用があるものがあって尿量が増えます。また、病気のため下痢、嘔吐、出血などある人は脱水症状になりやすいのです。

それで、高齢者の場合、意識的に水分を取りましょう。昔から「年寄りのお茶のみ」といいますが良いことです。しかし、あまり濃いお茶やコーヒーなどは利尿作用があって尿が出ていく量も増えます。汗をかいた時などはスポーツドリンクのようなミネラルをバランスよく含んだ飲み物の方が水分の吸収がいいようです。

高齢者の方は特に入浴の前後、就寝前、夜中目を覚ましたとき、朝起きてから、特にのどが渇いたと意識しないときでも水分をとってください。  生き生きとした高齢者は水々しい暮らしからと考えます。