生き生き健康 No.13 高齢者によくあること - 尿もれ -

 

 

生き生き健康


高齢者によくあること - 尿もれ -
今回は「尿もれ」についてお話しをします。こういう質問がありました。「65歳になる私の家内のことですが、本人が恥ずかしがって聞こうとしないので、代わりに質問します。実は2~3年前から、尿が知らぬ間に漏れるというのです。変な話しですが、くしゃみをしても出るらしいのです。この前は座っていて急に立ち上がったときに漏らしてしまったらしく、恥ずかしくて人に話せることでもなく、これでは人前に出られないといって、外出や近所の集まりにも出たがらず、引っ込み思案になってしまっています。
何か良い方法はありませんか。」    (68歳 男性)
尿がしらぬまに漏れるという現象を「尿失禁」といいます。
腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁とは?

この人の奥様のような悩みをもっている人は意外に多く、日本全体でみて、約400万人、あるいはもっといるだろうと言われています。人知れず悩んでいる方はさらに多いのかもしれません。
 尿失禁を起こす原因として考えられるものが4つほどあります。

 第1は尿を止める役目をしている筋肉が少しゆるんできた場合で、この奥様のような方がこれに当たると思います。私たちは膀胱に尿がたまってきても、ある程度の量にならないと尿意を覚えません。あんまりちょくちょくトイレに行ったのではたまりませんから、そこは出口にある筋肉がきちんと閉めているわけです。
ところが、年をとってくると筋肉の張りがなくなり、力も弱まってゆるんでくるので、ちょっと腹に力を入れるような動作をして腹圧がかかると尿がもれることになります。これを腹圧性尿失禁といっています。
第2の原因は、神経性のもので、脳卒中などにかかった人が漏らす状態です。私たちは膀胱に一定以上尿がたまると、そのことを脊髄を通って脳に伝えます。脳からトイレに行きなさい。そして閉めている筋肉をゆるめて尿を出しなさい。といった一連の反射的命令が発せられるのです。
従って、脳卒中などで脳の指令がうまくいかなかったり、脊推の外傷などで神経の情報がうまく伝達されなかったり、一番肝腎な膀胱自体が情報の発信が悪かったりすると、トイレにいきたいと思ったときは間に合わなくて漏らしてしまうことになります。
神経の伝達が未成熟な幼児のお漏らしもこれに当たります。これを切迫性尿失禁といいます。

溢流性尿失禁と真性尿失禁とは?

 第3の原因は、骨盤内の病気や手術のあと膀胱に尿がたまっても、出そうとするがうまく出ない。それでいつも尿が一杯たまって、溢れ出てくることになります。これを溢流性尿失禁といいます。もともと尿失禁は男性に比べて女性に断然多いのです。それは尿道が短く、お産などで筋肉がゆるんでいるからですが、男性にも女性と違った構造上の尿もれがあります。それは男性特有の病気である前立腺肥大症です。これは男性の中高年に多い病気ですが、尿の出口を前立腺が邪魔して、この溢流性尿失禁をきたすことがあります。 
 第4の原因は、尿道の括約筋が全く用をなさなかったり、病気や手術、ケガなどで尿が尿道とは別の方に穴があいて出てくる場合などが考えられ、本人は全く気付かないうちに、いつも下着が濡れているということになります。これを真性尿失禁といっています。いずれにしろ、尿を漏らした位では生命にはかかわりはないのですが、やはり、臭いし、不潔感があり、自分で自分を処理できない何か絶望感があって落ちこんでしまうものです。しかし、一度しかない人生です。落ち込んでばかりいたのでは折角の一生も暗くなってしまいます。いい方法を考えてみましょう。
いずれにしろ、尿を漏らした位では生命にはかかわりはないのですが、やはり、臭いし、不潔感があり、自分で自分を処理できない何か絶望感があって落ちこんでしまうものです。しかし、一度しかない人生です。落ち込んでばかりいたのでは折角の一生も暗くなってしまいます。いい方法を考えてみましょう。
 

自分はどのタイプの尿失禁かを正しく診断する 

先ず、最初に自分はどのタイプの尿失禁かを正しく診断することが大事です。それによっては、薬を用いてよくする場合もあるし、手術をすればよくなる場合もあります。あれこれ悩む前に、正しい診断が先ず必要ですから、医師にご相談なさってください。
 次に、この質問にありますように、女性の中高年の尿もれの大部分は、腹圧性尿失禁です。これに対する予防と対策を述べてみましょう。簡単なことです。トイレに行って排尿する途中で尿を止める練習をするのです。2~3秒間括約筋を締めてみるのです。うまくいかない時は、肛門を締めるようにしてみて下さい。これを1回の排尿に当たって、4~5回続けてみて下さい。つまり筋肉トレーニングです。トレーニングですから毎日続けて気長に努力されることが大切です。
それから、おむつというと赤ん坊か寝たきり老人かと思ってしまいますが、必要とあれば役に立つものです。いまは大変いい尿吸収パンツがあります。漏らした尿を吸収してくれ匂いもとってくれれば、安心して外出したり、パーティーなどにも出席できます。これも立派な治療法なのです。それで人生がどれだけ明るく、積極的になるかわかりません。もちろん筋肉トレーニングがうまくいって、お漏らしがなくなればその必要はなくなるのですから一時的なものです。年取ると老眼鏡や補聴器をつけるのと同様に、何らかの補助手段を用いる事で生活が楽しく、明るくなるならためらうことなく取り入れましょう。