生き生き健康 No.31 首や腕を支える僧帽筋

生き生き健康


首や腕を支える僧帽筋

 北原 道宏
 財団法人体力つくり指導協会 主任研究員
1.首や腕を支える僧帽筋
————————————————————————————
 僧帽筋は人間の背中の一番表にある筋肉(表層筋)です。後頭部の首の付け根や背骨から始まり、鎖骨や肩や肩甲骨に付いています。
後ろから見ると首、左右の肩、下の第12胸椎を結ぶ四角形に見えて、ちょうどカトリック教会の修道士の帽子に似ていることから、僧帽筋と呼ばれるようになったそうです。僧帽筋は、重い頭の角度を保ったり、腕の重さを支えたりする大切な役割を果たしています。肩を横に張ったり、すくめたり、重い荷物を持つときに腕が下に引っ張られないように支えたり、肩に物を担いで運ぶときなどに働いてくれます。            
2.なで肩、猫背は僧帽筋が疲れる
————————————————————————————
 肩や首の周辺には、大小さまざまな筋肉があり、筋肉に大きな負担がかかると疲労がたまって肩がこりやすくなります。中でも僧帽筋は肩こりと最も関係が深い筋肉といわれています。
「なで肩」の人は僧帽筋の量が少ないので、肩に疲労がたまりやすくなります。特に、筋力が弱い女性は、なで肩で疲労がたまりやすく、肩こりが多く発生しやすくなります。これを解消するひとつの対策として筋肉をつけることが大切です。「猫背」気味の人にも肩こりが多いといわれますが、猫背で首が前に倒れるのを支えるために、肩が凝りやすいといえます。また、頚椎に異常があると僧帽筋の働きが悪くなり、僧帽筋自体の痛みや関連痛により、頭痛が発生することもあります。姿勢に気をつけることが大切です。      
3.僧帽筋の話
————————————————————————————
 
 僧帽筋は上部、中部、下部に分けられます。
上部は後頭部の付け根(後頭骨)から鎖骨につながっており、筋肉は薄くて比較的に力が弱く、鎖骨の引き上げに特に関与します。
中部は頚椎の下位(第7頚椎)と胸椎の上位(第1~第3胸椎)から肩の端(肩峰)や肩甲骨の上の出っ張り(肩甲棘)につながっており、筋肉が厚くて力も強く、肩甲骨を挙げたり、内側に寄せたり、腕を外から回しながら上げたりするときに使います。
下部は胸椎の中程(第4胸椎)から下(第12胸椎)にかけて始まって肩甲棘につながり、肩甲骨を下げたり、内側に寄せたり、腕を外から回しながら上げたりする役割を果たします。
3つの僧帽筋が一緒に動くと手を頭の上まで上げることができます。僧帽筋の重要な働きは腕の上部外側にある三角筋の働きを助けるために肩甲骨を安定させる役割であるともいえます。この僧帽筋の働きにより、肩に物を担いで運ぶことが出来るのです。
男性、女性ともに肩こりの解消や予防のために僧帽筋が衰えないように運動を行いましょう。
4.家庭でできる簡単な「僧帽筋の運動」
————————————————————————————
 
[実技方法]:ペットボトル(またはダンベル)を持ち、両肩の上げ下ろしを行う。

① 腰幅で立ち、両手に各々ペットボトルを軽く握って持ち、両腕を下に伸ばして手の甲側を前に向けます。
② 「イチ」で息を吐きながら両肩を上げます。そのとき、腕は下に伸ばしたままです。
③ 「ニ」で両肩を上げた状態に保ちます。
④ 一度息を吸ってから、「サン」で息を吐きながら、腕をゆっくり元の位置に戻します。
⑤ 「シ」で元の位置で息を整えます。
⑥ 「イチ」「ニ」「サン」「シ」を1回として、繰り返し10回行います。
⑦ 10回をセットにして、1セットから5セット行ってみましょう。

(ワンポイントアドバイス)
*「ニ」で肩を上げてじっとしている時間を長めに(例4秒~5秒)取ると、より効果が高まります。
*上げるよりも下ろす方をゆっくり動かすと、より効果の高い運動になります。
*「イチからシまで」終えた後、大きめの呼吸を1~3呼吸入れてから(身体をリラックスさせて)次の動作を行うと筋肉の疲労が出にくく、運動の持続性が高まります。
*脚の痛みが気になる場合はイスに座って行いましょう。
*回数はあくまでも目安です。無理せずに自分のペースで行いましょう。