生き生き健康 No.32 ジャンプ運動で転倒予防

生き生き健康


ジャンプ運動で転倒予防

北原 道宏
財団法人体力つくり指導協会 主任研究員
1.筋肉は速筋から衰える
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 魚にはマグロのように回遊魚で持久性に富んだ赤みの魚と、ヒラメのようにじっとした姿勢から急に小魚にとびついて捕獲するような瞬発性に優れた白身の魚がいます。
そして人間は持久性に優れた赤い筋肉(遅筋)と瞬発力に優れた白い筋肉(速筋)の両方を持っています。
ところが、人間は加齢と共に筋肉が衰えていくとき、赤い筋肉よりも白い筋肉から先に減少していくことが知られています。
白い筋肉は、階段をさっさと登ったり下ったり、歩行中につまずいて転倒するときにとっさに動く瞬発力を発揮する筋肉ですから、白い筋肉を刺激する筋力運動を行うことは転倒予防につながるということになります。            

2.ジャンプ運動で転倒予防
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 人間の身体は上半身よりも下半身から先に衰えていきます。上半身の腕の筋肉は50歳代の後半までは現状を維持しやすいのですが、筋肉の中でも下半身の腿の前面は一番早く衰え始めます。
ジャンプ運動は下半身のばねを取り戻す運動です。よく、宇宙飛行士が宇宙から地上に帰還したときに立っていられなくなるという話が聞かれます。重力に逆らって立つ必要がないので腿の筋肉が衰えてしまったせいですが、日常生活で歩きまわっていられるのは、下半身の強さのおかげといえます。      
3.ジャンプ運動は骨密度を高める
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 骨密度は、重力に逆らってタテ方向に運動し、骨と筋肉に刺激を与えることで高まります。更年期以降の女性は骨密度が急激に落ちてきますので、ジャンプ運動は特にお勧めです。ただし、膝関節に不安を感じる場合は、つま先をあまり床から離さないで上下動を抑えたジャンプ運動を行うとよいと思います。
4.ジャンプ運動で鍛える筋肉は
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 ジャンプ運動は、腿の前面(大腿四頭筋)、お尻(大殿筋)、ふくらはぎ(下腿三頭筋)の強化になります。特にふくらはぎの外側は白い筋肉ですから、転倒予防に大変良い運動になります。
ウォーキングやジョギングなど持久的な運動ももちろん大切ですが、時々、無理のない範囲でジャンプ運動を取り入れるとよいと思われます。両手を上げながら行うことで上半身の運動を加えた全身運動ができます。            
5.家庭でできる簡単な「ジャンプ運動」
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[実技方法]:連続のジャンプ運動に合わせて両手を上げたり下げたりする。

① 腰幅で立ち、膝を軽く曲げて、両手を軽く握り肩の上で構えます。
② 「イチ」で息を吐きながらジャンプし、同時に両手を上げてパッと手を開きます。
③ 「ニ」で両足を着地させて軽く膝を曲げ、両手を軽く握り肩の上に戻します。
④ 「サン」でそのままの姿勢で息を大きめに吸い、次のジャンプに備えます。
⑤ 「イチ」「ニ」「サン」を1回として、繰り返し5回行います。
⑥ 5回をセットにして、1セットから4セット行ってみましょう。

 (ワンポイントアドバイス)
*膝痛など、身体に不安のある場合は、床からつま先があまり離れないジャンプ運動を試してみましょう(参考写真「高くとばないイチ」)。
*肩の痛みなどで腕が上がらない場合は、手を下ろしたままで行ってみましょう。
*高く跳ぶことよりも、気持ちよく跳ぶことを重視しながら、リズムを大切にして行いましょう。
*「サン」の時間を長くして十分に息を整えると、息切れが抑えられます。
*余裕のある場合は、「サン」を短くしてすぐに跳ぶような連続動作で行ってみましょう。
*回数はあくまでも目安であり、無理をせずに自分のペースで行いましょう。
(注意)
 *ジャンプ前には準備運動やアキレス腱をゆっくりと伸ばすストレッチ運動を充分におこなってください。突然おこなうと、腱を損傷したり、断裂することがありますので注意しましょう。