生き生き健康 No.33 身体に痛みのない幸せ

生き生き健康


身体に痛みのない幸せ

北原 道宏
財団法人体力つくり指導協会 主任研究員
1.健康の維持は生活の基盤を支える
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 燃料費の高騰に始まり、電気・水道・食料費など生活に直結する経費がどんどん値上がりして家計のやりくりが大変な時代がやってきました。こうしたとき、少しでも無駄を省こうと、いろいろと知恵を絞ったりします。車の運転もエコドライブに気を遣ったりすることでしょう。
同じくらい自身の健康にも気を遣ってみませんか。運動習慣は、強く健康な身体を維持するのに大変役立ち、食習慣も地産地消などを推進することで、広い意味で経費の節減になりますね。
では、身体調整はいかがでしょう。肩こりや腰痛を緩和させたり、予防することができれば医療にかかる経費を節減できると思いませんか?  
2.身体の痛みは心の痛み
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 お金のことは別にしても、身体の不調による苦痛や不快感はいやなものです。僅か一カ所の違和感や痛みだけでも、動くのが億劫になり、少しの動作でもその痛みなどが強調されてきます。すると何か悪い病気にでもなったのかと心配になったりして、精神的にも不安定な状態に陥りやすくなります。
身体の痛みや不快感をなくす身体調整は、痛みの種類や程度を知ることにも繋がり、医療への依存を減らすばかりでなく、健康な精神を維持しやすくなりますから、生活をしていくうえで大きな意味を持ってくることになります。      
3.身体がゆがむと痛みが出やすい
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 あなたは右利きですか左利きですか。
私たちは赤ん坊のときは通常歪みのないバランスの良い身体の状態で生まれてきます。しかし、人に右利きと左利きがあるように、前後左右を完全なバランスに保つことはできません。
若いときはアンバランスな動作があっても、筋力でカバーできますが、60年、70年と長期間使い続けてきた身体は、筋力だけではカバー仕切れなくなってきます。工業用の機械であれば償却期限切れでとっくの昔に使えなくなっています。
筋肉の衰えは身体を支えにくくさせ、姿勢を乱し、骨格に不調をきたします。座位など静止状態が続くと特定部位の筋肉に負荷がかかり、やはり姿勢を乱します。手指の作業が多いと肩が張ってくるのと同じです。これらをただ我慢するだけではやがて筋肉の衰えやコリ、骨への負荷などに耐えられずにゆがみが増大して、身体の痛みが強くなってくることになります。
*若い人でも限度を超えて極端に耐えられないような無理をすれば身体は壊れます。

4.自分の身体は自分で守る
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 私たちはお腹が空いたら食事を摂り、眠くなったら睡眠をとります。それらは実行しやすい事柄ですが、不快感や痛みの場合は痛くなったから治すとなると、そう簡単にはいきません。ほとんどの場合、これくらいは大丈夫などと放っておいたりするのではないでしょうか。
お腹がすいたら食べるなどを単純に繰り返していたら太ってしまいそうです。眠くなったら眠るなどしていては仕事にもなりません。いずれも現実的ではありませんが、私たちはこうした身体の変化(お腹がすいた、眠いなど)は感じ取ることができます。そしてこの場合は時間という管理のなかでその欲求を満たすことになります。
身体の痛みやゆがみも同様に身体の変化として感じ取ることができれば、解消させやすくなるのです。初期のゆがみや痛みの状態を知り、自分の努力で体調を元に戻すという「心がまえ」が身体調整です。ただし、自分の身体は自分で守るといっても限度があります。病院に行く必要がないと言っているのではありません。            
5.身体調整は盆栽の手入れや掃除と同じ
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 身体のゆがみは盆栽の枝と同じで、手入れをしないとバランスが悪く不格好になっていきます。
また、家の中のほこりやゴミも毎日掃除をすればいつもきれいに保てて快適ですが、放っておくと慣れた住まいなのに使いづらくなり、年末の大掃除のときなども大変になります。
現在、私の担当している健康教室では自分で身体を調整する運動を取り入れています。その中で多い悩みはやはり膝痛、腰痛、そして肩痛です。お部屋の掃除と同じように繰り返し自己調整運動を行うことで痛みの予防や低減を行います。また、身体調整もうまくなると、立派な盆栽ができるのと同じように、状態の良い身体を作り上げることもできるでしょう。      
6.身体の各所はお互いに助けあっている
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 人間の身体は例えて言えば、体液という大きなかたまりの中で骨格や筋肉、内臓などが互いに関係しながら成り立っているといえます。
だから、どこか身体の一部分だけが単独で病むというものではありません。最初は足首の捻挫から始まって、それを助けるために腰痛が発生し、それをかばって膝痛が発生するなどのケースもあります。また、足の指にとげが刺さっただけでも、歩き方が崩れ、膝や腰を痛めるなどもひとつの例です。とげが刺さっているという原因を除去できれば、歩き方は回復するでしょう。
このように、本当の痛みの原因が取り除かれるまでは身体の各所で「かばいあい」の痛みが出ては消えるということが繰り返されることになるのです。
7.身体は段階的に危険のサインを出す
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 痛みとは、身体に無理がかかったときに身体が壊れるのを防ぐための危険を知らせる自己防衛の症状と言い換えることができます。だから、痛みを我慢したり、薬で痛みを取ったりするのではなく、身体からのサインに耳を傾け、原因自体を排除するのが最善の手段になると思われます。そんな身体のサイン(違和感)は次のように変化していくと考えられます。
① はじめに日常のアンバランスな身体動作(クセ)が筋肉の過緊張を生み、そのストレスによって身体に異常(知覚異常)を感じるようになります。この自覚症状はまだ形としては変化が表れない感覚的なものです。
② ストレスが進むと、痛みが出、一部が動きにくいなど役割に障害(機能障害)がみられるようになります。
③ さらに進むと骨の形などが変化したり壊れたり(器質変化)します。
解消するときも同じ順序をたどります。アンバランスを整えることで知覚異常を改善し、動きやすさを取り戻す(機能障害の緩和)ことで身体を元の状態に整えていきます(器質変化)。
8.身体に違和感や痛みのない生活が最高の幸せ
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 90歳になっても100歳を超えてもシャキシャキと外出できる方々をテレビなどで観ると、いくつになってもすべての人が健康でいられる可能性があるのではないかと希望が膨らんできます。
単に長生きを目指すのではなく、違和感のない身体を維持することを健康の目標にして、適当な運動量を保ち、過食のないバランスのとれた食事を心がけ、規則的な睡眠時間を確保しましょう。そして、良い姿勢を保ち、自然を大切にしながら日常を過ごしたいものです。
今回は身体調整の概略を説明しました。次回から、自分の身体を自分で調整する簡単な運動を紹介していきたいと思います。
90歳になっても100歳を超えてもシャキシャキと外出できる方々をテレビなどで観ると、いくつになってもすべての人が健康でいられる可能性があるのではないかと希望が膨らんできます。
単に長生きを目指すのではなく、違和感のない身体を維持することを健康の目標にして、適当な運動量を保ち、過食のないバランスのとれた食事を心がけ、規則的な睡眠時間を確保しましょう。そして、良い姿勢を保ち、自然を大切にしながら日常を過ごしたいものです。
今回は身体調整の概略を説明しました。次回から、自分の身体を自分で調整する簡単な運動を紹介していきたいと思います。