生き生き健康 No.35 「五十肩」からの脱出

生き生き健康


「五十肩」からの脱出

 北原 道宏
  財団法人体力つくり指導協会 主任研究員
 四十肩・五十肩とは、ある日突然、夜も眠れないほど肩が痛くなる、徐々に肩が痛くなりしまいには痛みで動かなくなるなどといった症状で、程度の大小を入れればかなり多くの人が経験するようです。
「六十歳でも四十肩・五十肩」といって笑い話しにする人もいるようですが、実情は、衣服を脱ぐのも大変なようです。治るまでには長い期間を必要とすることが多く、そのため生活に不便を伴います。今回はこうした状態を「五十肩」としてくくり、五十肩の内容と自己調整法を紹介します。
1.五十肩は肩関節の炎症
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 四十肩・五十肩というのはいわゆる俗称で、正しくは肩関節周囲炎といいます。四十歳を過ぎたころから発症する例が目立ち、五十代でピークになるといわれます。六十代の方も多く発生しますが、それ以降の発症は割と少ないようです。
肩関節周囲炎が発症するときには、必ず肩の運動不足や老化により肩関節の腱や関節包が硬くなって炎症を起こしやすくなっているという前段階があります。そして自分でも気がつかないようなふとした動作や、腕を上げた状態の長時間作業や、急な動作をすることなどがきっかけとなって腕が上がらなくなってしまいます。
肩腱板(けんけんばん)損傷といって腱が完全に切れてしまうような重症の場合は手術が必要になりますので、痛みが強い場合は早め整形外科で受診するようにしましょう。なお、「手当てが必要な人」の中には、原因が五十肩でない場合もありますので、一度整形外科で受診されることをお勧めします。
 五十肩予知の目安は次のとおりです。

[要注意]
・運動不足である
・腕を真横に上げようとすると、肩が痛む
・背中に手が届きにくい
・お風呂に入ると楽になり、痛みが緩和する
[手当てが必要な人]
・肩の痛みが1週間以上続いている
・腕が肩より上に上がらなくなった
・手や腕にしびれがある

2.五十肩は長引く
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肩の使い過ぎが五十肩の原因と思われがちですが、実は運動不足の方が要因であることのほうが多いようです。また、痛いからといってそのままにしておくと肩の可動域が狭いままになってしまうので、肩を動かしながら徐々に治していく必要があります。
五十肩が治るまでの期間は、人によって大きく異なります。完全に元通りに戻らなくても、苦痛や不便を感じずに日常生活が送れるようになれば治ったとみてよいと思います。普通の生活が送れるようになるには、通常、痛みが起こってから、早い人で3ヶ月~半年、長い人は1年以上かかることもあります。
 五十肩の対処法
 ①肩を冷やさないようにしましょう。蒸しタオルや入浴などで温めると痛みが緩和されます。肩の保温サポーターも有効です。これからクーラーを使用する時期になります。寝ている間の冷えには特に注意しましょう。
②動かす時はゆっくりと動かすことが大切です。重い荷物は極力持たないように心がけしましょう。
③腕を持ち上げたいときは、脇をしめた状態で手のひらを顔に近づけます。そのままゆっくりと上に伸ばすと手を挙げることができます。試してください。*日頃より肩の運動を生活の中に取り入れ、肩関節の可動域を回復させましょう。五十肩は期間が経てば自然に痛みはとれますが、肩の動きは元通りにはなりません。長い間放置しておくと、運動障害の原因にもなりかねません。
3.簡単な五十肩の自己調整運動
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 [実技の概略]
腰幅で立ち、両腕を水平に上げていき、左右の肩の違和感を確かめます。肩の違和感のある方の片脚に体重をかけて、両腕を上げて4~5秒して脱力を伴いながら一気に下ろす運動を行います。回数を重ねるごとに徐々に違和感が解消されていくという自己調整法です。
[写真説明]
①腰幅で立ち、両腕を体側に伸ばして姿勢を正します。
②ゆっくり息を吐きながら両手を身体の横に水平まで上げます。4~5秒静止した後、一気に息を吐いて同時に力を抜いて両腕を「ストン」と落とします。
*このときに肩に違和感はないか、水平まで上がらないような痛みが無いかなど、左右の肩の差を確認します。
③痛みとか違和感のある肩の方の片脚に体重をかけて、その脚を軸にして、ゆっくり息を吐きながら両手を水平まで上げます。4~5秒静止した後、一気に息を吐いて同時に力を抜いて両腕を「ストン」と落とし、身体の真ん中の軸に体重を戻し、そして2~3呼吸息を整えます。
*③の説明の動作を3~5回程度繰り返した後、②の身体の真ん中を軸にした状態での両手の水平上げを試して肩の違和感を確かめてください。まだ違和感がある場合、③の片脚体重の運動を再度2~3セット繰り返してみてください。②、③の運動は、肩の違和感の改善につながりますので、毎日継続してご活用ください。両肩に違和感がないときでも肩痛の予防になります。
(ワンポイントアドバイス)
*必ず違和感や痛みのある肩の方の脚に体重をかけましょう。
*痛みがあるときは、腕が上がる高さまでで無理に水平に保たなくてもよいです。
*ゆっくり息を吐きながら両腕を上げ、一気に息を吐きながら腕の力を抜きましょう。