生き生き健康 No.36 腕のしびれや痛みが気になるとき

生き生き健康


腕のしびれや痛みが気になるとき

 北原 道宏
 財団法人体力つくり指導協会 主任研究員
 握力が急に落ちてしまった、就寝中に腕がしびれて目が覚めてしまったなど腕に異常が感じられたことはありませんか。その時、「歳を取ったせいかな、しょうがないことかな」と思いがちですが、実は歳のせいばかりではないようです。
腕の痛みやしびれは実生活に支障をきたす恐れがありますので、腕痛の経験がない方にも予防のための運動を行うことは意味があります。今回は首からくる腕痛の自己調整法を紹介します。
1.首の緊張が腕痛を引き起こす場合
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 長時間腕を高く上げたり下げたりする作業やパソコンを長時間使用する状態が続くと、腕の痛みやしびれ、肩こり、手の冷えなど首から腕や手にかけてさまざまな症状が発生しやすくなります。
一因として、首から腕のつけ根にかけて流れている神経や血管の圧迫が挙げられます。一般的にはその症状を胸郭出口症候群と総称しますが、代表的なものに前斜角筋と中斜角筋という首の筋肉が緊張して、その両方の筋肉に挟まれて神経と血管が圧迫される前斜角筋症候群が挙げられます。神経が圧迫されると痛みやしびれ、筋力低下、感覚異常、発汗異常が生じ、血管が圧迫されると腕や手、指が冷たくなったりします。
2.首の緊張で腕痛を起こしやすい方
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①首が長く、なで肩の方(女性に多い)
②首の筋肉の発育が悪い方(女性に多い)
③怒り肩、筋肉質、首の短い方(男性に多い)
④首の筋肉に異常のある方 
3.腕痛の対処法
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①長時間の腕を上げた状態や下げた状態での作業をできるだけ避ける
②長時間の腕上げや腕下げの作業をする場合は、途中こまめに作業を中止して休憩し、首や肩のストレッチや軽運動を行う
③重いものを持ったり上げたりする作業を避ける
④習慣的にストレッチングや筋肉強化運動を行う
⑤鍼灸治療、温熱療法
⑥身体の不良は日常生活の不自然な動作や習慣から起こるので、積極的に生活習慣の見直しを行う。
なお、腕のしびれや痛みの原因が、頚椎椎間板ヘルニアなどの場合もありますから、症状がひどくて困る場合は医師による検査を早めに受けることをお勧めします。
4.簡単な腕痛の自己調整運動
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[実技の概略]
イスに座り、緊張することなく腕と上体をほぼ同時にねじります。腕の動作を首や上体の筋肉と同調させながら動かすことで、上体の特に首周りの筋の緊張をほぐします。最後に息を吐いて脱力し、しばらくこのままの姿勢で脱力状態を味わってからゆっくりと元の姿勢に体を戻します。この脱力がポイントとなりますので丁寧に行ってみてください。
[写真説明]
①イスに座り右手を肩の前に伸ばし、反対の左手は腿に置いて姿勢を正します。その時、右手の平は左に向けます。
②ゆっくり息を吐きながら半円を描くように片手を反対の腿の付け根に回して置きます。次に手を追っかけるように顔を腿の付け根の方に向けます。
③そのまま右手の指の示す方向にゆっくりと上体を斜め下に落としていき、最後に「ストン」と脱力をしてリラックスさせます。4~5秒静止した後、ゆっくりと元の姿勢に戻し、2~3呼吸息を整えます。*①から③の動作を1セット(3~5回)程度繰り返した後、同様に反対の左手を行います。 
*違和感がある方の腕を再度2~3セット繰り返してみてください。運動を行う毎に手の平に血の気が戻ってくる感触が出てくると思います。ぜひ毎日継続してみてください。腕に違和感がないときでも行うことによって腕痛の予防になります。