生き生き健康 No.37 背骨の側弯が気になるとき

生き生き健康


背骨の側弯が気になるとき

 北原 道宏
 財団法人体力つくり指導協会 主任研究員
中年期以降になると坐骨神経痛などの痛みや脚の長さの左右差、腰部の椎間板の変性などが発生しやすくなります。背骨の横へのゆがみ(脊柱側弯)は、こうした症状発生の際にバランスを取るために起こることがありますが、みなさんはいかがでしょうか。
背中のゆがみは単に姿勢の見栄えが悪いというだけでなく、背骨から出ている神経が歪みの影響で圧迫を受けると、神経の先にある内臓など体内の不調を引き起こしやすくなるので気をつけたいところです。
初期の側弯は姿勢に気をつけることで矯正できる可能性が高くなりますので、自己調整運動を積極的に取り入れ、側弯の予防・改善をおこなってみてください。
1.側弯とは
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  背骨を後ろから見て右ないし左に脊柱が曲がっている状態を側弯といいます。初めは筋肉や靱帯などのゆがみ(機能性側弯症)から始まりますが、それが長期間続くと骨が変形する構築性側弯症に進展します。
初期のゆがみの時期に運動療法や鍼、マッサージなどで身体のアンバランスな緊張を緩和し、姿勢を正していく事が大切です。
①矯正の可能性のある機能的脊柱側弯
・背骨に変形がない
・習慣性の不良姿勢によるもの
・骨盤の傾斜によるもの
•腰椎椎間板ヘルニアなどによる疼痛(疼痛性側弯)により、反射的、防御的に背中の筋肉が緊張、収縮して発生したもの
•脚の長さの差や下肢関節の不良に対する代償(代償性側弯)として、アンバランスをかばうために発生したもの

 ②矯正がむずかしい構築性脊柱側弯
•背骨の形と運動に異常がある
•背骨が凸側方向へ捻じれている
•側弯凸側背部が隆起している
•凸側肩甲骨が突出している
•腰の高さが左右非対称性である
・特発性側弯症(原因不明)
・先天性側弯症
・脳性小児マヒによる側弯症
・神経疾患の合併症による側弯症
2.脊柱の側弯の対処法
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今のところ、まだ的確な予防法や根治的な治療はないといわれていますが、機能性側弯症と、構築性側弯症でも進行性でないものや軽度のものは、姿勢の矯正運動を継続的におこなうことで、見た目の姿勢の改善や、疲れにくい身体づくりに役立ちます。
日頃、「自分の身体は壊れない」と思い無理な動作を続けたり、運動不足が長く続いている人は基本的に身体の歪みが発生しやすいと考えられます。
身体は生身であり「自分の身体は自分で守る」という意識を高め、「身体を上手に使う」ことを大切にして、自己調整運動を毎日コツコツと継続することが大切でしょう。
なお、年齢、側弯の角度、進行度によっては装具を必要とするものもあり、先天性のものや神経病性のもの、原因不明の特発性のものなど、医師による定期的な診察を受けることが望まれます。
3.簡単な脊柱側弯の自己調整運動
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[実技の概略]
イスに座り、両手を腿に置き、両肩(上半身)を左右に水平移動させます。ゆっくりと左右の移動を試して、窮屈感のない楽な方向を選択し、楽な方に多めに両肩の水平移動をおこないます。移動させる側のお尻に体重のかけながらゆっくり丁寧に行ってください。
運動効果として、骨盤の負担の左右差が縮まること、背中の筋緊張のアンバランスが緩和されることなどにより、背骨のゆがみが正常のラインに戻りやすくなります。
[写真説明]
①イスに座り両手を腿の上に置いて姿勢を正します。
②ゆっくり息を吐きながら、両肩を水平に保ったまま右側横に移動させます。そのとき、頭の軸を垂直に立てた状態で移動させ、右側のお尻に体重を預けます。4~5秒程度体重を預けた姿勢を維持してから一度息を吸い、ゆっくり息を吐きながら最初の姿勢に戻します。
③姿勢を整えてから2、3呼吸程度息を整え、次に反対の左側に②と同様の運動をおこないます。
④肩の水平移動を右、左交互に2回程度繰り返しおこない、肩の移動のしやすい側を確認します。
⑤移動しやすい方を3回おこなった後、移動しにくい方に1回おこなうことを1セットとして、1セットから5セット繰り返します。毎日継続していくと脊柱の骨のラインが変化し、腰や背中の筋緊張のバランスが整って、体調も徐々に良くなる可能性があります。 
(ワンポイントアドバイス)
*全体にできるだけゆっくりと動作をします。
*肩のラインと両側の体側と骨盤で囲む四角形を平行四辺形に変化させるイメージで肩の水平移動をおこなってみましょう。
*腰の負担の変化を感じながら、片側のお尻に体重を移動させてみましょう。
*セットを行う毎に移動の窮屈感の左右差がだんだんなくなってきます。左右差がなくなったところで運動を終了します。
*呼吸を整えるときは、リラックス感を味わうようにすると良いでしょう。