生き生き健康 No.41 膝痛とじょうずに付き合う心意気

生き生き健康


膝痛とじょうずに付き合う心意気

 北原 道宏
財団法人体力つくり指導協会 主任研究員
 四十腰、五十肩に六十膝。これはそれぞれの年代に多い障害を表した昔ながらの言葉ですが、現代でもおよそこの通りではないでしょうか。膝の痛みは歩行の妨げとなり、外出の機会を奪ってしまいます。これに伴い生活の質もどんどん低下しかねません。
「歳をとったのだから仕方ない」などとあきらめず、日常生活の中に軽運動を取り入れるなど生活習慣を見直してみてはいかがでしょう。しかし、軽運動や通院をしても完全に痛みが除去されたり、緩和できないとしたら、身体の動作方法や歩き方を工夫することでQOLの低下を防ぎましょう。
1.膝関節の役割
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  膝関節は、曲げ伸ばしという単純な動作しかしません。そのためねじれ動作に膝関節は非常に弱い部分でもあります。つま先が外を向いたりするときは、足首の関節や股関節が関わっているます。膝関節は大腿骨(だいたいこつ)と脛骨(けいこつ)の中間にありますがこれらは4つの靱帯で支えられています。この靱帯は横から急激な力が加わることで切れるなど損傷しやすい部分でもあります。しかし、急激な力でなくても歩き方の癖や、姿勢の乱れなど長期の習慣が影響して伸びてしまったりすることも少なくありません。
膝関節は歩くときは60度ぐらいまで曲がり、正座では140度程度まで曲がります。普通に歩いているときでも体重の1.5~2倍の負荷を受けていて、階段の上り下りでは2~3倍、走っているときは5倍以上の力が膝関節にかかっています。膝の痛みに対して、医師から太ももの筋力運動をしなさいと指示を受けることがありますが、これだけの負荷がかかっているのですから筋力トレーニングはやはり大切だといえるでしょう。
2.変形性膝関節症
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 膝痛で病院を訪れ、変形性膝関節症と診断された方は少なくないでしょう。ある調査では50歳以上の日本人女性のおよそ6割に変形性膝関節症があるとされるほどです。変形性膝関節症の多くは、関節の軟骨が磨り減って関節炎を起こす症状です。軽度の磨耗では痛みの自覚はなく、磨耗が進むと屈伸のたびに痛みが出たり、可動域が制限されたりします。さらに症状が進むと、歩くたびに骨同士がぶつかり合い強い痛みを生じ、日常生活において大きな障害となります。
変形性膝関節症でも軽度のうちであれば軽い運動などで痛みの出現を押さえることも出来ます。特に水中歩行などの水中運動は、膝にかかる負荷を減じさせつつ運動できるのでとてもお勧めです。水中歩行実践者の多くは膝が楽になったと証言していることからも確かでしょう。
3.膝痛予防のための日常生活のポイント
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・内股で立たないで、つま先を少し外に向けて立つ
・良い姿勢を保つよう心がける
・コラーゲンなどの栄養物を摂取する
・正座のような膝を深く曲げる動作はしない
・軽い曲げ伸ばし運動を実践する
・膝は冷えやすいのでサポーターなどで冷えを予防する
・運動をして膝が熱を持ったら、痛みが起こる前に膝を冷やす
・通常歩行であっても、動き始めは徐々に慣らしていく
膝痛が慢性的で、日常生活に支障をきたす場合は、必ず一度専門医に相談しましょう。
4.O脚を予防する簡単な自己調整運動
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 日本人にはO脚が多いと言われています。O脚の場合は膝の内側に負荷がかかりやすいのですが、実際に変形性膝関節症の約9割が膝の内側に症状があるようです。O脚の原因のひとつに太ももの内外の筋力バランス低下が上げられます。特に太腿筋内側前方の筋肉は老化が早いといわれており、この部分の筋力が衰えると膝のお皿(膝蓋骨)が外側に引っ張られてO脚となり膝痛へとつながります。筋肉トレーニングもかねた膝痛予防の自己調整運動をご紹介しますので、ぜひ、お試しください。
[実技の概略]
立ち姿勢から、膝を曲げながら腰をゆっくりと落としていきます。膝に負担のない適当な高さで腰を止め、続いて両膝を無理のない範囲で内側に寄せます。4~5秒止めた後、ゆっくりと腰を上げて元の姿勢に戻します。腿の緊張を確かめながら無理のない程度に、5~10回を目安に繰り返してみましょう。[動作解説]
①初期姿勢  :両足は腰幅より少し広めにして立ち、つま先をやや外側に向けます。手は腿に置くか壁やイスなどにつかまって身体を支えます。
②動作1   :膝をつま先と同じ方向へ向かうように、腰をゆっくりと落としていきます。
膝に痛みや苦しさなどの違和感の無い高さ(中腰程度)で止めます。
腰を落としたときの上体は、少し前に傾けた姿勢にします。
③動作2   :両膝を内側に少し寄せて、4~5秒じっと止めます。
④動作3   :腿の緊張させたまま、ゆっくりと腰を上げ、元の姿勢に戻ります。ゆっくりと上げると、より筋力向上効果を高めることができます。初期姿勢に戻ったら、2~3呼吸、息を整えます。
⑤頻度    :最初は1回~5回を試して疲れ具合の確認をしましょう。慣れてきたら少しずつ回数を増やして、5~10回を目安に繰り返してみましょう。
②動作1:しゃがみ込み     ③動作2:膝寄せ

(ワンポイントアドバイス)
*体力のある方でも、膝を曲げる限度は腿が床に対して水平までに留めます。それ以上の膝曲げは膝関節を痛める可能性がありますから行わないようにしましょう。軽く膝を曲げるだけでも充分運動効果が期待できます。